納付猶予という方法があります

長引く新型コロナウィルス感染症ですが、新たな感染者数もここにきて漸く減ってきました。各自治体の方でも徐々に緊急事態措置の解除がなされ、社会経済活動の再開が図られています。

とはいえ状況はなかなか厳しく、ある程度回復するのもまだ数ヶ月はかかるだろうといわれています。

これまで政府や各自治体は収入が減少している事業者支援のため、様々な対策を打ち出してきました。主なものとしては、給付金・助成金、緊急特別融資、納税等の期限延長や猶予などがあります。

今回は納税等の主な支援策について、少し整理をしておきたいと思います。

事業収入が減少した場合の納税猶予の特例

令和2年2月から納期限までの一定の期間(1ヶ月以上)において、事業収入 が前年同期比概ね20%以上減少した場合には、原則として1年間の納税猶予が認められます。猶予期間中の延滞税はかからず、担保の提供も不要です。

対象となるのは基本的にすべての税金なので、法人税や消費税、申告所得税といった国税はもちろん、固定資産税などの地方税も1期分の納税期限から1年間の猶予が可能です。

なお、この「事業収入」は法人の収入(売上高)のほか、個人の方の経常的な収入(事業の売上、給与収入、不動産収入)等をいい、個人の方の「一時所得」などは対象外となります。

また、今年は申告所得税、個人事業の消費税、贈与税の申告期限が4月16日まで延長され、それ以降も柔軟に受付けるという対応がされていましたが、法人税、法人の消費税の申告・納付期限についても、新型コロナウイルス感染症の影響により、やむを得ない事情がある場合には、申請により個別延長が認められることになっています。

固定資産税等の軽減

固定資産税・都市計画税について、令和2年2月~10月までの任意の連続する3ヶ月の事業収入が、前年の同じ期間より50%以上減少した場合、令和3年の納税額はゼロになります。同様に減少率が30%から50%未満の場合は、令和3年の納税額は1/2に軽減されます。

もしも今年1年間の納税猶予が認められており、対象期間の事業収入が50%以上減少していたなら、来年は今年分の固定資産税のみを支払うということになります。

ただしこのとき、対象期間の事業収入が30%未満の減少の場合は、2年分の納税が必要となるので留意する必要があります。

厚生年金保険料等の納付猶予の特例

新型コロナウイルスの影響により、令和2年2月以降の任意の1か月以上の期間において、事業収入が前年同期に比べて概ね 20%以上減少しており、納付が困難な場合には1年間納付を猶予することができます。

こちらも担保は不要で、延滞金もかかりません。

令和2年2月1日から令和3年1月 31 日までに納期限が到来する厚生年金保険料等が対象となります。

令和2年2月1日から令和2年4月 30 日(特例施行日)の納期限が過ぎているものについては、令和2年6月 30 日までの申請により遡ってこの特例を利用できます。

労働保険料等の納付猶予の特例

厚生年金保険料等の場合と同様に、新型コロナウイルスの影響により、令和2年2月以降の任意の1か月以上の期間において、事業収入が前年同期に比べて概ね 20%以上減少しており、納付が困難な場合には1年間納付を猶予することができます。同じく、担保不要で延滞金もかかりません。

令和2年度の労働保険料等の申告及び納付期限については、従来は令和2年7月10日までですが、令和2年8月31日まで延長されました。

なお、延納(分割納付)をしている場合の第2期以降の納期限については従来通りですので、ご注意ください。

制度を利用して計画的な納税を

新型コロナ感染症の影響から事業が悪化し、資金繰りも厳しくなると、納税資金を準備するのは困難になりがちです。

給付金・助成金や緊急特別融資を利用しながら、上記のような納税猶予制度も活用してみてはどうでしょうか。

いずれも納付期限までの申請が必要です。申請せずに納付を延滞してしまった場合には、延滞税や延滞金がかかりますのでご注意ください。

 

後藤百合子

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