年末調整手続きの電子化

今週担当の三谷です。

9月16日に新たに菅内閣が発足し、菅新総理含め官僚にも新たな顔ぶれが並びました。

新総理のもとでこれから進む日本の政治運営ですが、経理担当者は年末にかけて年末調整手続きに歩みを進ませなければなりません。

年末調整の電子化、始まります

平成30年度税制改正により、令和2年分の年末調整から生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅借り入れ等特別控除に関わる控除証明書について、勤務先へ電子データにより提供できるよう手当されたことを受けて、年末調整手続きの電子化に向け施策が実施されます。

年末調整の電子化によって保険料等の控除額を計算しなくても良くなり(※控除用紙の電子データを国税庁提供の無料ソフトや対応する民間ソフトへインポートすることによって自動計算される仕組みが取られる予定です)、控除証明書を紛失した際などは再発行手続きを各種保険会社などへ依頼していたものが対応する保険会社などから再度ダウンロードし直すことで再発行手続きの短縮化、年末調整申告書類の保管コストの削減などのメリットが得られます。

出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/users/gensen/nenmatsu/nencho.htm

電子化に向けての準備・留意点

電子化に向けて取り組むにはまず、勤務先、従業員それぞれの協力と準備が必要です。

<勤務先の主な準備>

①電子化の実施方法の検討

従業員、経理担当者が使用する年末調整作成用ソフトウェアについての検討、電子化導入後の年末調整手続きの事務手順などの検討

②従業員への周知

電子化にあたって、法令上は事前に従業員から同意を得る必要はありませんが、従業員との協力は不可欠なので、早期の周知が必要です。

③給与システム等の改修など

対応する民間ソフトウェアを使用する場合はシステムの改修が必要な場合があります。

(南部会計事務所でも導入しているJDL IBEX給与net2では2020年10月下旬、12月の2回に分けて国税庁提供の「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」で作成した申告データや控除証明書等の電子データ取込対応のバージョンアップを予定されています。※2020年9月17日現在)

④税務署への提出

従業員から年末調整申告書に記載すべき事項を電子データにより提供を受けるためには、勤務先はあらかじめ所轄税務署長に「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出し、その承認を受ける必要があります。(※承認には書類提出後約1~2ヶ月程度要します)

<従業員の主な準備>

①年末調整申告書作成用のソフトウェアの取得

勤務先へ電子データとして各種年末調整申告書を作成するソフトウェアを取得する必要があります。また、利用するソフトウェア等については勤務先とも相互確認が必要と考えられます。

②控除証明書等データの取得

保険会社等のホームページなどから控除証明書データを取得するために方法などを確認する必要があります(具体的な取得方法は保険会社等により異なります)。

※マイナポータル連携を利用する場合は、年末調整申告書データの作成中に民間送達サービスに送達された複数の控除証明書等データをマイナポータルを通じて一括取得するため、②の手続きは不要になります。マイナポータル連携を行うためには事前にマイナンバーカードの取得や各種保険会社等との連携が必要になります(※保険会社等によっては連携できない場合があります)

 

<導入にあたっての主な留意点>

導入にあたって経理担当者や従業員のなかでIT活用に抵抗や自身での手続きが困難な場合、理解や支援方法について検討が必要と考えられます。電子データを取得できない控除証明書がある場合や電子データを送付できず従来どおり紙提出を行う従業員が混在することによって電子と紙を併用する形を取らざるを得なくなりこれまで以上に手続きに時間がかかる場合なども考えられます。電子化導入にともなってマイナポータルと連携する際にPCを利用される場合はICカードライダーなどの準備が必要であり、関連する整備を整えていくためには早期の準備と段階的な方法の確立が必要不可欠です。

また、導入後に想定外の事態が生じることも考えられるため、都度対応方法を改めて行くなど導入後の運用にも留意しなければなりません。

出典:国税庁>4 よくある質問(FAQ)「年末調整手続きの電子化及び年調ソフト等に関するFAQ(令和2年7月改定)」

https://www.nta.go.jp/users/gensen/nenmatsu/pdf/nencho_faq.pdf

電子化への対応は必要?

申告・届出等手続きの電子化・デジタル化は行政機関で強く推進されており、新たに発足した菅内閣でも複数の役所に分かれている政策を協力に進める体制として「デジタル庁」創設が行政改革の目玉として掲げられています。

電子化の波は今後も様々な分野で注目・導入されていくことが予想されます。「慣れていない、分かりづらい」と一蹴せずに、まずは自社で必要かどうか検討してみてはいかがでしょうか?

 

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